私たちは、ひとりひとりの健康と尊厳を守る、地域のための病院(コミュニティーホスピタル)をめざします。

Subject診療科目

肝臓内科Hepatology

診療時間

診療時間
肝臓内科 9:00~11:30 甲賀(啓)※2/10 休診 小瀬
寺部(第1・3週)
小瀬
甲賀(啓)
小瀬
甲賀(啓)
寺部 甲賀(啓)(第2週)9:00~12:00
13:30~15:00 甲賀(麻) 甲賀(麻) 寺部  -  -
15:00~17:00 甲賀(啓)(第1・4週)※2/10 休診 寺部  -

当院は肝疾患診療連携拠点病院です。厚生労働省「肝炎総合対策の推進」
日本肝臓学会認定施設

担当医

肝臓内科について

肝臓内科では、肝臓に関わる様々な疾患の診断・治療を専門的に行っています。当院は焼津市、藤枝市では唯一の日本肝臓学会認定施設であり、肝臓専門医・指導医が診療に当たっています。また、肝炎患者さんをサポートする専門スタッフ「肝炎コーディネーター」が在籍しています。以下に、肝臓病の病態、主な対象疾患を挙げ、当院の診療内容をご紹介します。

肝臓病の病態

  • 急性肝炎
    急激に肝細胞が破壊される状態です。多くはウイルスが原因となりますが、薬剤性肝障害によるものもあります。肝炎ウイルスには、A型、B型、C型、D型、E型があり、A型とE型は急性肝炎、B型とC型は急性肝炎と慢性肝炎の原因になります。急性肝炎は自然治癒する可能性が高いですが、まれに重症化すると、重症・劇症肝炎、急性肝不全へ辿ることもあります。
  •  慢性肝炎
    肝細胞が破壊される肝炎の状態が、6カ月以上持続している状態です。原因により治療法が異なりますが、肝炎が持続すると、肝臓の線維化が進行し、徐々に肝機能が低下していきます。
  • 肝硬変
    慢性肝炎が進行して肝臓が硬くなり、肝機能が低下する状態です。肝硬変は多くの合併症を引き起こすため、随伴症状に対する治療が必要となります。
  •  肝細胞癌
    慢性肝疾患や肝硬変を背景として、肝細胞が癌化した状態です。早期発見し適切な治療を行えば、治癒、長期生存が期待できます。

主な検査方法

  • 血液検査
    血液中の肝機能関連数値(ALT、AST、ALP、γGTP、ビリルビンなど)やウイルスマーカー(HBs抗原、HBc抗体、HCV抗体など)、自己抗体、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-IIなど)を測定します。
  •  画像検査
    腹部超音波検査やCT検査(コンピュータ断層撮影)、MRI検査(磁気共鳴画像診断)を用いて、肝臓の脂肪分布や腫瘍の有無を調べます。造影剤を用いることで腫瘍や血管異常の検出精度が向上し、肝腫瘍の鑑別に役立ちます。
  •  肝生検
    肝臓の細胞を採取して顕微鏡で観察する検査です。肝組織の炎症や線維化の程度、特定の疾患(MASH、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎)の確定診断に役立ちます。

主な対象疾患

  • B型肝炎
    B型肝炎ウイルス(HBV)の感染により発症する疾患です。急性肝炎から慢性肝炎、さらには肝硬変や肝細胞癌へ進行する場合があります。当院では、抗ウイルス療法(インターフェロン製剤、核酸アナログ製剤)を用いて、HBVの増殖抑制や疾患の進行防止に努めています。また、HBVキャリアの方への定期検査や肝機能評価も行っています。
  •  C型肝炎
    C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により発症する疾患です。急性肝炎から慢性肝炎、さらには肝硬変や肝細胞癌へ進行する場合がありますが、近年の直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により、治癒が期待できるようになりました。当院では、DAAによる抗ウイルス療法を用いて、C型肝炎の治癒を目指します。また、HCV排除後の肝発癌について、定期的に血液検査、画像検査によるサーベイランスを行っています。
  •  自己免疫性肝炎(AIH)
    免疫システムが自身の肝細胞を攻撃することにより発症する疾患です。慢性肝炎、さらには肝硬変へ進行する場合があり、早期診断と治療が重要です。当院では、ステロイドや免疫抑制薬を用いて炎症を抑える治療を行います。
  •  原発性胆汁性胆管炎(PBC)
    免疫システムが小さな胆管を徐々に破壊し、肝臓に胆汁がたまることで慢性的な炎症を引き起こす疾患です。無症状で経過しますが、進行すると肝硬変に至る可能性があります。当院では、ウルソデオキシコール酸などを用いて炎症を抑える治療を行います。
  •  代謝異常関連脂肪肝炎(MASH)/代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)
    肥満や糖尿病、脂質異常症などの代謝異常が原因となる疾患です。特にMASHは肝硬変や肝細胞癌に至る可能性があります。当院では、生活習慣の改善指導に加え、必要に応じて薬物療法を行い、肝機能の改善と合併症の予防を目指します。
  •  アルコール関連肝疾患(ALD)
    アルコール摂取により肝細胞が損傷を受ける疾患です。アルコール性慢性肝炎、さらには肝硬変や肝細胞癌に至る可能性があります。当院では、アルコール摂取の管理や栄養指導を行いながら、肝機能の改善と合併症の予防を目指します。

肝硬変随伴症状の治療

  • 腹水
    非代償肝硬変に進行すると、腹腔内に腹水が貯留します。塩分制限や利尿薬で腹水コントロールを行いますが、難渋する場合にはアルブミン投与や腹水穿刺による腹水の除去を行います。難治性の腹水には、腹水濾過濃縮再静注法を行う場合もあります。
  •  肝性脳症
    非代償肝硬変に進行すると、アンモニアなどの有害な物質が肝臓で代謝されず体内にとどまり脳に影響を及ぼします。軽度の場合は意識混濁や判断力の低下がみられ、重症化すると昏睡状態に至ることがあります。食事療法による蛋白質摂取の調整や分岐鎖アミノ酸製剤、腸内のアンモニア産生を抑える薬(ラクツロースやリファキシミン)の内服、アミノ酸製剤の点滴などで治療を行います。
  •  食道静脈瘤
    肝硬変に伴い門脈圧が上昇し、側副血行路である食道や胃の静脈が拡張することで発生し、破裂すると大量出血を伴います。治療には、予防的、または緊急で内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)や硬化療法(EIS)を行います。

肝細胞癌の治療

治療は病期や肝予備能に応じて以下の方法が選択されます
手術療法:肝切除や肝移植
局所療法:ラジオ波焼灼療法(RFA)や経カテーテル動脈化学塞栓療法(TACE)
薬物療法:分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療

肝移植について

重篤な肝疾患や肝不全に対して行われる、肝機能の回復を目指す根治的な治療法です。肝移植を検討する場合は、移植適応を評価し、専門施設と連携してスムーズな移植プロセスをサポートします。

 適応疾患

末期肝硬変(代償不全性肝硬変)、肝細胞癌(一定の基準を満たす場合)、急性肝不全、代謝性肝疾患(先天性酵素異常など)

 肝移植の種類

・生体肝移植…健康なドナーから肝臓の一部を移植する方法
・脳死肝移植… 脳死ドナーから提供された肝臓を移植する方法

肝臓内科スタッフより

肝臓の疾患は早期発見・早期治療が大切です。
健康診断で肝機能異常を指摘された方や、肝臓に関する症状が気になる方は、当院にご相談下さい。専門医が丁寧に診察致します。

関連ワード

急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・肝細胞癌・B型肝炎・C型肝炎・自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎・MASH/ MASLD・ALD・腹水・肝性脳症・食道静脈瘤・ラジオ波焼灼療法(RFA)・肝移植